about

A木山AYO.

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wateroomにて取り扱いをさせていただくこととなった

「こけし」の作り手、A木山AYOこと堤あやこさんにお話を伺ってきました。

主にアートブックにまつわるお仕事、出版・デザインやブックフェアなどの傍ら

美術活動をされています。

 

初めてお会いするきっかけとなったのは、新潟市沼垂の「古本もやい」

が発信するフリーペーパー。

 

その片隅に書かれた、「仲間募集」の小さく控えめな記事。

 

楽しい予感を胸に、その日のうちに連絡。

 

お互いに、「できるときにできることを」という言葉をいただき、

私も本号より少しだけお手伝いさせていただきました。

 

 

今号のフリーペーパーのテーマの一つである、

「裏日本」の裏日本=新潟の山地方の話にまつわる打ち合わせと撮影のため、

お住まいと作業場がある南魚沼にて、初めてお会いすることに。

 

 

堤さんとお会いして一番に感じたこと。

それは「とても率直で無駄のないあたたかさがある方」という印象。

 

こうあるべきとか、そういう社会的観念とか役割をビュンと飛び越えるような、

軽やかで新鮮な感動がありました。

 

人とつながって、与え、受け取るという心地よいリズム。

「自分をセンターに置くことで、

まわりにも自由を与えられる人。」

魅力的な方はたくさんいるけれど、

今の自分に必要な何かを持った人との出会いは、

誰しもがあるのではないでしょうか。

今回のインタビューは、

「なしのつぶて」付録写真の挟み込み内職作業をしながら。

 

ながら作業で中途半端にならないか心配だったけれど、

録音したインタビューの音声を聞いた時、自分の声の柔らかさに驚く。

 

何か同じ方向を感じながら一緒に作業していると、

頭の端っこがシンクロするよう。

 

 

目的とか決めごとのない堤さんとの対話は、

ゆっくり綺麗な石を拾い集めるようなおだやかな時間となりました。

ご主人とご一緒にお仕事、育児をこなしている彼女にとって、

仕事はまさに生活と不可分に結びついているもの。

 

仕事、あるいは生活がそれぞれの中に収まって、

密接につながっているもの。

 

その中でもこけしの製作は、お仕事というよりはライフスタイルに位置する。

 

「完全に個人に戻って創造する時間。」

 

心惹かれる素材の一つ、「木のもの」を集めているうちに、

骨董市などで見かけるジャンクな

「お土産こけし」というジャンルに興味を持つ。

 

 

「お土産こけし」とは、生産地を問わない大量生産品が主流である一方

わずかながら木の実や貝殻など、その土地何方で生まれ出るもの、

あるもので製作することもある、いわば本流ではないこけしのこと。

 

その場所に、その土地にあるものをうまく詰め込んだ

「お土産こけし」の不完全でゆるりとした魅力。

 

お土産こけしをコレクトする中で、

実際に木工を学びたいと感じるようになったのだそう。

「木工旋盤の心地よさ。」

 

 

木工旋盤とは、「ウッドターニング」をする上で

木材を回転させるための機械のことを指します。

 

(陶芸で使う”ろくろ”と相重なることもあり、

”木工ろくろ”という呼び方をする場合も。)

 

 

木工旋盤を学びながら、こけしの製作が頭を過る。

 

自分で作れるんじゃないか、

というぼんやりした可能性から技術を学ぶことに。

 

木工旋盤の良さは、何より木を削っていく時の感覚にあるのだそう。

 

日曜大工さんと同じ感覚で、

「削りたくて仕方ない。木を見ると何か作りたくて仕方ない。」

という衝動。

 

頭の中に完成図のあるデザインのお仕事とは違って、

手を動かしながら感覚で形を作っていく。

 

作業していく中で形が決まっていく面白さ。

 

「動き」が「考え」の先を進んで、無意識が顔を出す。

 

製作されたこけしは、

性別やコンセプトもない、ニュートラルな出で立ち。

「職人の厳しい世界」というものではなく、

時に旋盤仲間とおしゃべりしながら共に手と感覚を動かしひたすら削る

エクササイズのようなもの、と堤さんは言う。

 

 

どこに向かうかはわからないけれど、

迷いながらでも作っていけばいい。

 

 

全ては自己責任で、始まりも終わりも自分で決めていく。

 

堤さんのこけしたちは、販売目的ではなく堤さん自身のために作られたもの。

 

 

こけしのしなやかで柔らかい曲線を思う。

 

クオリティーや使い勝手、そういったものを作り上げるプロセスもまた

尊く意味のある作業であるけれども、

 

「感覚に引き寄せられて作ったもの。」

 

 

大勢の消費者のためじゃなく、自分のために拵えた何かが、

誰かの胸を打ち、誰かの特別になることもある。

 

場所や国、状況や時間さえも超えて。

 

繰り返しの生活の中から、力が抜けた

ゆるやかなひらめきとともに。

profile.

AYAKO

TSUTSUMI

A木山AYO

artist

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デザイン事務所 schtuccoを経て、

2008年より出版 / デザイン事務所 edition.nordを夫・秋山伸とともに始める。

2010年末より拠点を新潟県南魚沼に移す。

現在は南魚沼にて印刷アトリエ poncotan w&gを営む傍ら、こけしの製作をしている。

http://editionnord.com/

Tponcotan w&g

in Minami Uonuma.

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